CO2論争とドイツの環境ロマン主義

 「私たちの地球が死ぬ!」

ドイツの大衆向けメディアは、二酸化炭素など温室効果ガスによる、気候変化の問題を、こんな感情的な見出しを使って大々的に取り上げている。環境問題に世界で最も敏感なドイツ人は、その直情径行ゆえに、環境保護に向けて猪突猛進することがある。

私はこの性格を環境ロマン主義と名づけているのだが、
CO2削減論争では、この国民性がもろに噴出した。

EUが突然地球温暖化を首脳会議の中心議題に据え、CO2の排出量を、2020年までに1990年に比べて20%削減し、再生可能エネがEU全体のエネ消費に占める割合を現在の6%から、20%に引き上げると聞いて、驚かれた読者も多いだろう。

その背景には、物理学者で、環境大臣でもあったドイツのメルケル首相が、現在たまたま
EUの議長役を務めているということがある。

多くのドイツ市民が、冬になっても雪らしい雪が全く降らない異常な暖冬を経験し、気味悪く思っていた。

そこへ
IPCCの気候変化に関する報告書が発表されて、国民の関心が一挙に高まったとたんに、政治家とマスコミは気候保護をトップテーマとして、走り出したのである。

この国では、環境問題は票につながり、新聞の発行部数を左右する。

「車両税の基準を、エンジンの大きさから
CO2排出量に変更しろ」。「飛行機でバカンスへ行く市民は、気候保護のための募金をせよ」。「普通の電球を禁止して、省エネ型電球の使用を義務づけよ」。「政治家は公用車をハイブリッド・カーに変えろ」。

毎日のように新しい提案が政治家の口から飛び出す。

EUでは、CO2と経済に関する根本的な発想の転換を行い、「エネルギー革命」が必要だという意見が強まっている。

電力、自動車、航空、運輸、旅行など、
CO2排出と関係のある業界への世論の風当たりが、今後強くなることは間違いない。

「集団ヒステリーだ」と批判的な声もあるが、少数派だ。

電気新聞 2007年4月4日