高速道路に燃料電池スタンドを!
日本では京都議定書に基いて、二酸化炭素を減らす努力がされているにもかかわらず、二酸化炭素の放出量はむしろ増えているという。

これで本当に目標を達成できるのだろうか。

私は日本へ帰るたびに、最初の数日間は、喉に痛みを感じる。

ドイツに比べて日本の空気が悪いことは、久しぶりに地下鉄に乗ったり、環八を走ってたりしてもわかる。

これから一体、どうなるのだろう。

ここ数年、未来のエネルギーの実用例として注目されているのが、燃料電池自動車。

昨年、大手町でも「この車は燃料電池で走っています」というタクシーをはじめて見た。

しかし、世界で実際に走っている燃料電池自動車は、いまだ試験段階にある。

では、一般に普及するには何が必要なのか。燃料電池自動車も、燃料である水素と酸素を補給するスタンドがなければ走れない。

遠距離を走るには燃料の補給が必要である。

燃料電池自動車が先か、スタンドが先か、という議論が始まることになる。

とにかくインフラが整えば、燃料電池自動車も普及するだろうという前提で、スタンドを増やさなければならない。

2020年までに610万台の燃料電池自動車が走るためには、35億ユーロを投資してスタンドを作らなければならないとロンドン王立大学は推定している。

しかし、国際エネルギー機関(IEA)は、充分なインフラを作りだすためには、ざっとその100倍の投資が必要であるとも予測している。

しかし、あまり遠い将来をあれこれ想定しても仕方がない。

「隗より始めよ」と、ガス会社のリンデ社は、全国のアウトバーンにとりあえず40ヶ所、50キロごとに燃料電池用の補給スタンドを設置する計画を進めている。

すでにミュンヘン空港には燃料電池スタンドがあるが、これは空港内を走る送迎バス専用だ。

一方、2004年11月にヨーロッパで初の、一般向け燃料電池スタンドが、ベルリンに作られた。

ここではほとんど無料で水素と酸素の補給ができるが、「クリーンエネルギーパートナーシップ」という連邦運輸省のプロジェクトによって、可能となった。

単純に車の量を減らすことは難しいかもしれないが、クリーンな空気を次の世代に引き継ぐためにも、燃料電池自動車の普及を期待したい。

(文・福田直子 絵・熊谷 徹

2005年3月30日 保険毎日新聞