リースター年金、ようやく好調に(独)
ドイツ政府が2001年に導入した民間個人年金保険への補助制度は、当初不調だったが、制度の簡素化などが功を奏して、2005年になってようやく売り上げが大幅に伸びたことがわかった。
発足当時の労働大臣の名前をとって、リースター年金と呼ばれるこの制度では、個人年金保険を買うと、政府の補助金によって、確定申告の際に保険料が納税者に返還される。
GDV(ドイツ保険協会)によると、リースター年金を利用した年金保険の契約数は、2001年には140万件、2002年にも300万件にすぎなかった。
契約数が伸びなかった最大の理由は、保険料の返還を受けるための手続きが、極めて複雑だったことである。
政府はこうした批判に配慮して、手続きの簡素化を行った結果、2003年の保険契約数は349万件、2004年には366万件となったほか、去年には31%も伸びて、480万件に達した。
さらにリースター年金は、投資ファンドとしても購入することができるが、この制度を利用したファンドの件数も、2005年には前年比で82%増えて、57万4000件に達している。
特にフォルクス・ライフアイゼン銀行のファンド会社である、ユニオン・インベストメント社では、去年新規に販売したリースター年金ファンドの件数が、24万5000件になった。
これは単一の会社の新規契約販売数としては、アリアンツ生命(20万件)、アーヘナー・ミュンヒナー保険(14万件)を大幅に上回るものであり、業界の注目を集めた。
リースター年金は、公的年金の支給額が減らされる中、低所得層が老後のための蓄えを行うように、ドイツ政府が導入したもの。
しかし、あるアンケート調査によると、毎月の手取り所得が1500ユーロ(21万円)と3500ユーロ(49万円)の間の市民の間では、回答者の30%が「リースター年金を持っている」と答えたのに対し、所得が1500ユーロ以下の市民の間でこの年金を買っている人は、回答者の16%にすぎなかった。
現状を見る限り、低所得層の個人年金保険の購入を促進するという政府の狙いは外れたようである。
保険毎日新聞 2006年3月